AGAと白髪の都市伝説

男性の多くの人が抱える薄毛や脱毛などの髪の毛に関する悩みは、非常に大きなコンプレックスの原因となるものです。こうした薄毛などの症状は、年齢を重ねるごとに徐々に進行していく人も多くいますが、中には比較的若いころから脱毛の症状が始まる人も少なくありません。この所謂ハゲに関する話題は、多くの男性にとって気になるものですが、そうした話題の中で、白髪の人はハゲないという都市伝説が古くから言われています。こうした噂の由来ははっきりとしたものはありませんが、一般的に白髪が目立つ人は、高齢者であっても髪の毛がふさふさとしている印象が強いためと思われます。

 

しかし、こうした噂は、残念ながら医学的な見地から見ても全く根拠無しということが事実として存在しています。なぜならば髪の毛を白くしてしまう原因と、脱毛を引き起こす原因にはお互いに全く関係ないからです。髪の毛の色が白くなるのは、毛根の毛乳頭と呼ばれる部分にある色素細胞が活動を停止してしまうことにより、髪の毛を黒くするメラニン色素が作られなくなるからです。これに対し、髪の毛の発毛を司るのは毛母細胞と呼ばれる細胞で、これら両者にはその働きに因果関係はありません。そのため、頭に白いものが増えてきたからといって、安心できる根拠にはならず、薄毛や脱毛の可能性がなくなるということはありません。単純にハゲている人は、色素細胞が活動を停止していても、それを表す髪の毛が無いということが噂の由来にも繋がっているといえます。

 

男性に多くみられる脱毛の症状は、男性型脱毛症と呼ばれるもので、これはAGAという名称でも知られています。この症状の原因は、男性ホルモンに5αリダクターゼと呼ばれる酵素の一種が作用することにより、ジヒドロテストステロンというホルモンを生成されるためです。このジヒドロテストステロンは、髪の毛を正常に発毛させる仕組みであるヘアサイクルを乱してしまうという作用を持っており、本来髪の毛の生える成長期と呼ばれる期間が短くなってしまうため、徐々に新しい毛が生えにくくなっていくというものです。これを改善するには、5αリダクターゼの働きを抑制するのが第一で、ジヒドロテストステロンの生成を抑えることでヘアサイクルを正常な状態に戻すことが可能となります。また、こうした治療に伴い、毛母細胞に直接栄養分や成長因子を注入する育毛メソセラピーやHARG治療と呼ばれる治療法も非常に効果の高いものとして知られています。

AGAと脱色や整髪料の都市伝説

AGAとは男性型脱毛症のことで、成人男性によく見られる症状です。思春期以降に見られ、男性ホルモンが影響しているといわれ年齢が若くても前髪のはえ際や頭頂部の髪の毛が薄くなってきます。前髪の生え際だけ薄くなる人もいれば頭頂部だけの人もいますが、両方薄くなる人もいます。このように男性を悩ませる薄毛の症状の原因は何なのか、実はいろいろな都市伝説が存在しているのです。その噂の由来はどこからきているのか検証し、医学的見地からその正当性を検証してみたいと思います。

 
 
 

まず脱色や整髪料を行うと薄毛になりやすいという噂について見てみましょう。脱色を行う方法としては市販のブリーチ剤などを使うのが一般的です。ブリーチ剤の場合その用法にも書いてあるように髪の毛を痛めやすいということがあります。これは髪の毛にあるメラニン色素を抜くことになるので髪を傷めてしまうことがあります。もちろん髪の毛の色素を脱色するものなので、頭皮に直接ついてしまうと頭皮も傷めてしまうこともあります。ただ脱色が原因で薄毛になるというより、一時的に髪の毛が傷んで途中でちぎれてしまったりすることはあります。

 
 
 

次に整髪料です。髪の毛にはヘアサイクルというものがあります。頭皮には毛根があり、髪の毛は基本的に生え変わるサイクルがあります。まず髪は伸びてきますが、この時期を成長期といいます。個人差はありますが1ヶ月に1センチ程度伸びます。いつまでも伸びるわけではなく、やがて後退期をむかえます。そしてその後休止期となり髪の毛の成長は止まってしまいます。やがて新しい髪の毛が生え始めるとともに自然に抜けてしまうのです。通常このようなヘアサイクルは4年から6年の周期で生え変わることになり、このヘアサイクルが正常であれば髪の毛が一度にたくさん抜けることはありません。

 
 
 

整髪料の場合は、脂を使用したものもあります。このような整髪料を付けたあと、きれいに洗髪出来ていない場合など頭皮に脂分が残ってしまうと毛根が汚れてしまうことがあり、かゆみなどで髪の毛が抜けてしまうことがあります。このように脱色や整髪料が直接男性型脱毛症の原因にならないと言えます。また医学的な見地からも根拠無しと言えます。ただ間接的に頭皮を傷めてしまったり、頭皮や毛根が汚れてしまうことでヘアサイクルが乱れて髪の毛が抜けやすくなることはあります。そういった意味でも正しい使用法と、頭皮を綺麗な状態に保つようにする必要があります。

都市伝説とは異なる男性型脱毛症(AGA)のホントの原因

薄毛は、男性に多く見られる症状であり、そのほとんどはホルモンの働きと関係しています。このために、男性ホルモンの分泌量が急激に増加する成長期以降に進行する事になります。正確には、テストステロンが変化して生産されるDHTという物質が原因です。

 

 

DHTが、毛根の内部に存在している毛乳頭という部分のレセプターと結合する事により、皮脂の分泌量が過剰になってしまい毛周期が狂わされてしまいます。通常であれば数年間は継続する成長期が短縮される事になり、頭髪はすぐに抜けるようになります。また、生え変わりもスムーズに行われなくなってしまいます。

 

 

この物質が原因により進行する薄毛の事は、AGAと呼ばれています。日本名では男性型脱毛症と名付けられており、男性特有の症状です。生え際から頭頂部にかけての部分が薄毛となるのがこの症状の特徴であり、中年男性に多く見られるタイプです。

 

 

ただし、DHTが分泌されたからといって、全ての人が薄毛となるわけではありません。このために、男性であっても症状が進行する人としない人とに分かれる事になります。そこで、様々な都市伝説が作られるようになり、それを改善するために医学的な見地から根拠無しの民間療法が考案される事になります。

 

 

都市伝説とは、帽子をかぶると薄毛になりやすいという類の事です。噂の由来は、不明瞭であり根拠のある様な内容ではありません。現在では、これらは原因にならないという事が判明しています。DHTにより進行する事が、判明しているからです。

 

 

AGAに対しては、治療薬が開発されており、医療機関で購入する事ができます。DHTの生産を抑制する内服薬であり、飲む育毛剤とも呼ばれています。臨床実験では、3年間の継続使用で7割以上の改善が確認されており、国際的にも効果が認められています。

 

 

この内服薬は、テストステロンを変化させる還元酵素に作用するという内容です。元々は、前立腺肥大の治療薬として開発された成分で、頭髪に対しての直接的な作用はありません。このために、男性型脱毛症専門の治療薬であり、他の原因により進行する薄毛に対しては改善効果は発揮されません。

 

 

このように、薄毛を改善するためには、医学的な見地に基づいた治療法を選択するのが有効です。根拠なしの治療を行っても、思う様な結果は得られないからです。医療機関での薄毛治療が本格的に開始されたのは、利用者の混乱を防ぐという事も目的となっています。

 

 

男性ホルモンは、男性型脱毛症に大きく関わっている要素ですので、これは直接影響をしやすいとなっています。
都市伝説もありますが、ホルモンバランスに大きく影響するという事が分かりますね。